さよならどくとるマンボウ
今朝、作家の北杜夫氏が亡くなったというニュースを聞いた。
朝、家を出るところだった。
気分は、ずーっと昔の、高校時代に逆戻り。
当時、孤狸庵こと遠藤周作VSどくとるマンボウこと北杜夫の掛け合いは、
ユーモラスで楽しく、よく読んでいた。
どくとるマンボウが「自分が入院したとき遠藤はメロンを持っていくと言ったのに、
持ってきたのは栗だった。ケチなやつ」とけなすと、孤狸庵先生は「ぼくがフランス仕込みのすばらしい発音でマロンを持っていくと言ったのに、ガクのない北はメロンと聞き違えた」というような掛け合いをやっていた。
(私の遠い記憶に間違いがなければ)
もちろん本の中で。
勉強をしなければ、という焦りと、あれこれ心の中で言い訳して、つい本ばかり読んでしまう毎日。
行きたい大学に受かるかどうか。親との進学をめぐる意見の食い違い。
「どくとるマンボウ」逝去のニュースは、高校時代の焦りや悩みの気分を連れてきた。
高校時代が遠く去ってしまったからなのか、
あんなに親しんだ作家が亡くなったからか、
寂しい。
「人はなぜ追憶を語るのだろうか。
どの民族にも神話があるように、どの個人にも心の神話があるものだ。その神話は次第にうすれ、、やがて時間の深みのなかに姿を失うようにみえる。―だが、あのおぼろな昔に人の心にしのびこみ、そっと爪痕を残していった事柄を、人は知らず知らず、くる年もくる年も反芻しつづけているものらしい。」
北杜夫 「幽霊―或る幼年と青春の物語―」新潮文庫より
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コメント
No title
(北杜夫をキーワードに巡る道中、良い記事と思いつつ足跡だけで失礼しました。又、拙文にご来訪頂きありがとうございます。)
2011-10-29 05:48 Hannibal・c・Shunov URL 編集
No title
2011-10-29 22:36 ひーさん URL 編集