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いや重け吉事(いやしけよごと)

 新しき 年の始の 初春の
(あらたしき としのはじめの はつはるの)   
 今日降る雪の いや重け吉事
(けふふるゆきの いやしけよごと)
                            「万葉集」大伴家持
万葉集最後を飾る、大伴家持の歌です。
(いきなり万葉集なので、今日は「です・ます」体で。。。)
新春にふさわしい歌なので大好きなのですが、これが書かれた当時は、
今の日本と同じ、閉塞感漂う時代でした。
 
家持や橘家が尊敬していた聖武上皇の崩御。
藤原仲麻呂の陰謀によって立てられた新しい皇太子大炊王(おおいのおおきみ)。
台頭する藤原家に対して反乱を起こした橘奈良麻呂。
奈良麻呂は失敗し、これに加担した大伴家、橘家の失脚。
やがて、家持も因幡の国、今の鳥取県に左遷され、冒頭の歌を詠むのです。
 
年もあらたまった元旦の雪。
次から次に降りしきるこの雪のように、良いことが重なる年でありますように。
 
「どうか良いことが重なりますように」。
万葉集の最後に、これからの幸せを願ったこの歌があることによって、万葉集が閉じられているのではなく、次の時代に開かれた歌集となっていると私は感じるのですが、編纂者の家持の背景は明るいものではありませんでした。
 
藤原氏の台頭と、大伴家・橘家の凋落。
陰謀と反乱がうずまき、時代は大きく変わろうとしていました。
生きて奈良の都に帰れるかどうかもわからない家持は、
どんな心境でこの歌を詠んだのでしょうか。
(解釈は犬養孝「万葉の人びと」新潮文庫より)
 
新春にまつわる文章を書くときに、この歌をよく引き合いに出すのですが、
今年ほど家持のこの歌を思ったことはありません。
昨年、歴史的大災害に見舞われた日本。
孤独や苦境にあるすべての人に、降り積もる雪のように、
幸せが降り注ぎますように。
 
あらためて、新年のご挨拶を申し上げます。
すべてのみなさんに、「いや重け吉事」。
 
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コメント

非公開コメント

No title

時代が変わっても、人はやっぱり心に何かを持ち…願う…と言うのは変わらないのですね。
雪が降り積もるように…素晴らしいですね。幸せが降り積もりますように。

No title

Lestoilesさん、本当にいつの時代も人は願って生きてきたのでしょうね。雪が降り積もるように良いことがありますようにと、私も願っています☆

No title

「いやしけよごと」いい言葉ですね。

雪が降り始めたときの一面の白い光景は何もかもおおいかくして別世界に見えることがあります。
非日常の世界を感じます。

次々に「よごと」が重なって新しい世界が開けるように願いたいですね。

No title

コスモスさん、ありがとうございます。
実は、私の故郷ではあまり雪が降らず、「別世界」を見ることがほとんどありませんでした。だから雪が降るとうれしくなってしまうんですよ(#^.^#)でも、たくさん降るところは大変なんでしょうね。
ほんとに、「いやしけよごと」です。。。

No title

いやしけよごと…ありがとうございます。
感動しました。
心に染みる(*μ_μ)♪歌

No title

アラフォーのロンさん、ありがとうございます。
古い歌ですけれど、私も大好きな歌です(*^_^*)
ロンさんは、かわいいお子さん方に、いつもよごとをプレゼントされていらっしゃいますね♪