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内田樹的都会の落ち葉かき

この地方で、平野部での紅葉を楽しめるのは、おそらく今日が最後の日曜日。
色づいた街路樹は、次々と葉を落とし始めた。
 
今の職場に入って初めて知ったのだけれど、
街路樹の落ち葉の多くは、その近所の好意によって掃除されている。
たまたま、会社の前に街路樹が繁っているから。
自分の家の出口に落ち葉が降ってくるから、という理由で。

世の中には、ありがとうとも言われず、評価もされないような仕事がたくさんある。
けれど、誰かがそれをやってくれるから、社会の秩序が保て、日常が回ってゆく。
そんな仕事のことを、内田樹氏は「雪かき」仕事として書いている。
たとえば家事。
どんなにたらふく夕食を食べても、翌朝には家族がおなかをすかせて起きてくる。
昨日と同じように朝ごはんを作り、洗い物をし、洗濯と掃除。
そしてまた家族はおなかをすかせて帰り、食事の支度と洗い物の繰り返し。
シジフォスの神話のように、同じ仕事を繰り返す苦悩がある。
 
雪国での雪かき、このシーズンの落ち葉かきも同じ。
街路樹のそばの人たちが無償で落ち葉かきをしてくれるおかげで、
私たちは色づいたこの季節の街の美しさや、
冬枯れの街路樹を楽しむことができる。
公園管理事務所などない小さな公園も、町内会や有志の人たちが落ち葉を集め、
安全と美観を保つ。
 
 世の中には、「誰かがやらなくてはならないのなら、私がやる」というふうに考える人と、「誰かがやらなくてはならないんだから、誰かがやるだろう」というふうに考える人の二種類がいる。
  「もういちど村上春樹にご用心」内田樹 アステルパブリッシング出版
 
東大卒のフランス現代思想の先生に異論をはさむなんて、
私ごときができることではないが、あえてこの二者に加えたい。
世の中には、そんな雪かき的仕事の存在さえ知らずに暮らしている人がいる。
そしておそらく、知らない人の方が多いのだ。
 
私も、この年になって、町内会の仕事が回ってき、
職場の落ち葉かきをし、
ボランティアとは災害の現場に華々しく駆けつけるだけではなく、
日常に粛々と行われ、それによって私たちが暮らせていることを知るようになった。
 私たちは、多くのものを見ていない。
 
人は、多くの物事が目の前を通り過ぎてゆく中、
見たいものを見て生きていく。
 
さあ、落ち葉かきも終盤。
明日も出勤したら、お掃除しましょう。
せっせこせっせこ、せっせこせっせこ。
 
 
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コメント

非公開コメント

No title

誰かがやらなくても…できるようでなかなかできないですね。
人は誰かの為に…て人は言います。どこかに偽善が入ってる…だからやらないのか…偽善が入っていてもやらないよりは、少しは世界は変わる…だからやる。

No title

Lestoilesさん、こんばんは。いつもありがとうございます☆思うことはたやすいのですが、私などは職場だったり、町内会でやらずにはいられなくなってやるという情けなさです。でも、多くの方が多くの仕事をやってくださっていると、感謝しています(*^_^*)
余談ですが、前回コメントくださった際、アップするのが遅れました。「承認」をクリックし忘れていたようです。不慣れなゆえ、どうぞお許しくださいませ<(_ _)>

No title

ひーさん こんにちは。

内田樹氏は初めて聞きましたが、なるほどね~と感心しました。

評価されない地味なことでも、それが家族のためだったら黙ってやってる人が多いのですが、不特定多数の人のために行動するのは難しいですね。
私など、家族のためにしている家事でさえ、恩着せがましくぶーぶー言ってますよ。

私たちは >見たいものを見て生きていく
言えますね。 見えないところでのさりげない思いやりをもっと気づかなくては。

No title

コスモスさん、ご訪問&コメントありがとうございます。ほんとに、地味な仕事は難しいですね。家事も料理は食べる楽しみがあるので好きですが、後片付けはぶーぶーです(#^.^#)

おもいやりを持つって、何歳になっても簡単じゃないです。私の場合…。。。

No title

空き缶等も平気で捨てる人いますよね…でも誰かの好意で片付けられてます(*^^*)ちょっとぐらい…と他人に依存する行動はどうなんでしょう~
誰かの為にではなく、自分が気持ち良いから…の精神がないと
恩着せがましくなったり愚痴にかわりもしますね…
私も気を付けたい内容でした。

No title

アラフォーのロンさん、ありがとうございます♪
人がやるからいいかと、日常はついつい他人任せで通り過ぎることがあります。でも、小さな町内会の仕事だけでも、たくさんの雑務とごみの始末などの労働があり、私の住む町内ではお仕事をリタイヤされた方々が率先して引き受けてくださっています。
知らずに何年もここで暮らしていたのんきな私でした^^;

No title

おおちゃくな私です。
綺麗事を並べても…理想を唱えてみても、余裕がない私を知りました。
私の生まれ育った町内で廃品回収や消防に率先して行動出来てない我が家が存在しています。
人と関わるというのは摩擦を生じるという事です。
摩擦が嫌で逃げてた自分を知っています。なので…今年は子供会の会長を引き受けてみました。
自分探しの為に。
小さな組織に適応出来なくて…私のやりたい事等、出来るはずがないからです。
私のやりたい事…起業です
雇用促進し、個々の豊かさを支えたいからなのです…勿論…主人が生計を支えてくれているからこそ、成り立つ事なのですが…(^-^;
何を成すべきか…自問自答の日々
ひーさんに辿り着いて…私は救われた気がします。
叱咤激励に感謝します。
そして…生かされている事に( 〃▽〃)

No title

アラフォーのロンさん、人とかかわることは、まったく摩擦なしではできないですね。本当に難しいです。。。

子ども会の会長は、きっと大変なお仕事でしょうけれど、いい思い出にもなりますよ。私も子どもが小学生のころは役員やりました。
みんな、かわいい子どもたちでしたよ(*^。^*)

ロンさんはお若いから、まだまだいろんなことが未来に可能性としてあると思います(*^_^*)